きっちーさん的良楽曲 2021年 上半期
きっちーさん的良楽曲2021年上半期編です。
今年に入ってから音楽を聞こうとする時間はさらに減ってきてしまった気がする。そうなっていくと知ってるアーティストの新譜くらいしか新たに知る曲がなくなっていくので、より一層普段の生活の中で耳にする音楽へアンテナを張らないとなぁとは思っています。この半年で趣味でDTMを軽く初めてみたので、それきっかけに改めて自分が好きな音楽ってどんなだろうって考えることもできました。それが自給自足できるのかは別として。
そんなここ半年で知った曲たちです。
I see.../乃木坂46
作詞/秋元康
作曲/youth case
編曲/佐々木博史
アイドル楽曲大賞2020メジャー部門で3位にランクインしたとのことで、上位曲プレイリストを聴いていて知った曲。白石麻衣さん卒業曲の「しあわせの保護色」のc/wとして収録されていて、乃木坂46の4期生楽曲。A面を差し置いてこの曲が上位ランクインしていたのは、”SMAP感”としてとても話題になった影響が大きい。そう言われて聴いてみると確かにSMAPっぽいというのはわかる気がする。実際SMAPのあの曲っぽいとは言われていないあたり、こういったソウルやファンクっぽさをポップスに落とし込んだような楽曲が”SMAPっぽい”という国民の共通認識になっているのが面白い。4つ打ちが気持ちいいディスコナンバーで耳に入りやすくてノれるメロディーと曲調に中毒性がある。
Step by Step/サンダルテレフォン
作詞/千葉”naotyu-“直樹
作曲/千葉”naotyu-“直樹
編曲/千葉”naotyu-“直樹
こちらはアイドル楽曲大賞インディーズ部門18位の楽曲。嵐やキンプリのようなキラキラした王子様感のある爽やかな印象の楽曲。曲調と展開がとても好き。Aメロに繰り返しがない分、Bメロがちょっとサビっぽい&Bメロ頭でタイトル回収があるので、初めて聴いた時、Bメロに相当する部分がサビかと思ったので、その後さらにしっかり盛り上がるサビで心を掴まれた。2019年デビューだそうで、1st EPから楽曲大賞上位ランクインが何曲かある注目株。正直歌唱力とダンスにまだ伸び代があるので、今後実力と体幹を付けていけばかなり光るものを感じる。
Magic All Night/サンダルテレフォン
作詞/ちばけんいち
作曲/ちばけんいち
編曲/ちばけんいち
同じくサンダルテレフォンから、雰囲気は一転、こちらはハロプロっぽさを感じる。歌謡ポップディスコ調にしっかりと一人一人の歌声を聴かせるメロディがグッとくる。楽曲提供のちばけんいち氏はStep by Step提供の千葉”naotyu-“直樹氏と兄弟関係にあり、凄いクリエイター兄弟が制作に関わっているというのもあって、今後が楽しみ。
Dancer in the night/ばってん少女隊
作詞/KAKUWA
作曲/KAKUWA
編曲/久下真音
本格的なブラックミュージックで、楽器の音とグルーヴが生々しくて迫力を感じる。少し気怠そうな歌声と表現力も良い。趣向の傾向としてギターのカッティングとアイドルの歌声っていうコントラストを軽率に好きになっているのかもしれない。
シャイニングスター/魔王魂&森田交一
唄/詩歩
作詞/森田交一
作曲/森田交一
編曲/森田交一
新しい音楽の形かもしれない。友人に紹介されて初めて知ったのだけれど、YouTubeのMVの再生数は1000万回を超えている超有名曲。YouTuberが好きな人なら一度は聞いたことがあると言われていて、なぜかと言うとこの曲、フリー素材として公開されていて、そのためにいろんな動画で使用されているらしい。音楽とお金の話は最近さらに話題になっていて、買ってくれないとお金にならない、違法ダウンロードでは聴かないでほしいと叫ばれる中で、自ら無料で公開して、それがあまりにも良いものだから再生数による広告収入も入ってくるんだろう。仕組みとしては、無料公開で多くに人に知って使ってもらって、知名度を集めた上で作曲依頼受付もフリー音源サイトでしていること+広告収入なんだろうか。作品を売らずして成り立つビジネスが既にあるというのを今更ながらに知って、これはやられたと思った。特に最近はYouTubeやSNSで音楽が拡散されて話題になることが多いし、それによってクリエイターにお金が入るなら音楽を買わなければいけないというシステムはもういらないのかもしれない。もちろん見合うだけの良い作品であるという前提だけれど。
シャイニングスターはもう王道も王道のストレートをしっかり貫いてくる名曲。よくある構成といえばそれなんだけど、伸びやかで爽快なサビと、それを盛り上げるBメロまでの流れとか、ブレのない透明感のある歌唱とか、全てのバランスがいい。これがフリー音源とは。
こんなハズジャナカッター!/BEYOOOOONDS
作詞/星部ショウ/野沢トオル
作曲/星部ショウ
編曲/星部ショウ
昨年ビタミンMEで激推ししてたBEYOOOOONDSさんの新曲。この曲はBEYOOOOONDSのこれまでと今の位置付けをコミカルに歌う曲で、アイドルだというのに毎回MVで寸劇とかやらされて、こんなはずじゃなかった…というギャップから始まる。
1番では歌詞中に目標の対象としてハロプロの歴代グループを連想する歌詞が盛り込まれているのに対して、2番では他事務所のグループまで取り入れられている。10年前くらいのAKB48が爆発的にヒットした時にももクロやでんぱ組が対当してきて、アイドル戦国時代と言われた時期を経て、個性を出さねば生き残れないみたいな今のアイドルの形をものすごくポップに表している。新時代への転換と一端の決算を感じる。こういう曲をハロプロのグループがやってくるのが熱い。
勘ぐれい/ずっと真夜中でいいのに。
作詞/ACAね
作曲/ACAね
編曲/100回嘔吐, ZTMY
短いフレーズの中での音域の上下移動が凄い。音域がめちゃくちゃ広いのに、低いところも高いところも全く苦しそうじゃなくさらっと歌っているあたりにボーカルの技術を感じる。”転回を嫌い”のメロディーが短いけど究極にキャッチーなフレーズになっている。2番Bメロとか裏で鳴っているピアノとかギターが荒ぶっていて、でもその不協和音すら調和させていくのが聞いていて気持ちいい。あとサビの裏で鳴ってるピアノがめちゃくちゃ好き。
乱数調整のリバースシンデレラ(feat.彩宮すう(CV.竹達彩奈))/粗品
作詞/粗品
作曲/粗品
編曲/粗品
この曲を知らなかったらまずMVを最後まで見てほしい。
霜降り明星の粗品が製作したという曲。コロナ禍で出来たおうち時間でDTMを始めましたってレベルじゃなくてびっくり。去年の夏くらいに初音ミクを使った曲を数曲アップしていて、その頃は誰かに歌ってもらうとかは考えてないですねぇとか言ってたのに、半年でここまでになってしまうのか。凄すぎる。
お笑い芸人ならではというか、やっぱりただの曲ではなくて、音楽と歌詞と映像が揃って初めて完成する作品と、歌詞に意味とストーリーを持たせながら、仕掛けとフリを作ってオチをつけるとか、これは相当練った大作だと思う。
ガラスの靴の合う相手をシンデレラ側が探すというリバースシンデレラ、乱数調整によって強制的にトゥルーエンドに持っていくというストーリーと、曲タイトルの意味の整合性といい、エンターテイメントとして素晴らしい作品。
magical mode/花澤香菜
作詞/やぎぬまかな
作曲/神前 暁(MONACA)
編曲/Oliver Good(MONACA)
花澤香菜氏の歌声は唯一無二だし、だからこそ、花澤香菜の声という楽器を組み込んだような調和が素晴らしい楽曲。花澤さんの代表曲の一つであるところの恋愛サーキュレーションの作曲、神前暁さんが今回も作曲をつとめたということで話題にもなった。作詞は元カラスは真っ白のやぎぬまかな氏。中国版ZOZOTOWNのタイアップもあるということで所々に”ぞ”を意識した歌詞にもなっている。キラキラしたサウンドに乗る花澤さんの歌声が本当に素晴らしい。歌声もコーラスも溶け込み方が凄くて本当にリズムとメロディを刻む楽器みたい。この楽曲に関するやぎぬまかな氏のブログ記事もめちゃ良かったので記録しておきます。
神様はじめました/ハナエ
作詞/真部脩一
作曲/真部脩一
編曲/真部脩一
今年上半期くらいから趣味程度というかお遊び程度にDTMなるものを初めてみた。まだ全然思うようには出来ないんだけど、作れたら良いなの理想系の一つとして、音楽を好きになるきっかけの相対性理論っぽい曲を自給自足できたら面白いなと思って、その相対性理論っぽさってなんだと調べてる時に出会った曲。
個人的に好きな”相対性理論っぽさ”の答えは、相対性理論初期の楽曲制作者の真部脩一氏の作る曲というところにあった。確かに言われてみれば、真部さんが相対性理論脱退後にプロデュースしたタルトタタンとか集団行動とかも同じように好きだったのに、逆になぜそこに気が付かなかったのか。
神様はじめましたは今までスルーしていたことにめちゃくちゃ後悔するほどの名曲。歌い出し、”女の子はじめました”から始まって、”神様はじめました”で終わるのがめちゃくちゃお洒落。次はどうなるのか展開が全然読めない上に、ポップで可愛くてお洒落で不思議で不気味という、真部サウンドの全部を凝縮したような贅沢。中毒性が凄い。
bamboo-2/NeneNone
作詞/真部脩一
作曲/真部脩一
編曲/
こちらも真部さん提供曲プレイリストから知った。この曲も歌い出しと締め方がお洒落で素敵。BメロがBメロとは思えないほど疾走感と切なさがある。語感が良くて掴みどころのない不思議な歌詞と歌声のマッチングが素晴らしい。言葉遊びとメロディーの使い方に真部サウンドの良さが色濃く出ている。理性が重要 ガマンガマン
世界の中心で虹を叫んだサマー/虹のコンキスタドール
作詞/NOBE
作曲/村カワ基成
編曲/村カワ基成
虹コンが与えてくれたアイドル界への希望と決意。新体制となって初の夏曲。恒例となった虹コンの夏曲で、現代においてアイドルが水着でMVを撮るというストロングスタイルはそのままに、毎度お馴染みWサビがあったり展開も多いんだけれど、今年の夏曲は例年と一風違う。それが新メンバー加入による新体制のためである。マジでこれ読んでくれたらその後にMV見て欲しい。
コロナが流行って一年以上経った。アイドル業界はライブ収入の占める割合が多いということもあって、ライブができない状況が続き、グループの解散やメンバーの卒業ということが多くあった。虹コンもその渦中の一つで、虹コンの歴史の中で一番長かった12人体制が昨年末と今年の頭でのメンバーの卒業で、一旦の区切りとなった。僕が虹コンを知ったのが12人体制になった後だったので、ついに虹コンも…と寂しい気持ちになった。
その後今年の4月に開催された虹コンのワンマンライブで新メンバーのお披露目があった。その新メンバーというのが、3月で現体制を終了したグループWILL-O’の元メンバー桐野みゆ氏、そして4年前に虹コンを卒業した大塚望由氏だった。2人ともアイドル再始動、大塚望由さんに至っては卒業した元メンバーの復帰というメジャーアイドルではなかなか聞かない報告だった。初期から虹コンを応援していた人はどう思っているのか正直なところはわからないけど、純粋に虹コンファン、アイドル業界を応援するファンにとっての希望になったんじゃないかと思う。
アイドルを応援するものにとって推しの卒業というものは避けては通れないものだけれども、アイドル復帰という事実、こういう希望を与えてくれたことが純粋に嬉しかったし少し救われた気になった。
そんな背景があった上での今年の夏曲は、過去の夏曲の歌詞や振り付けをこれでもかというほど盛り込まれて、区切りと再始動を強く意識させるものになっている。語感だけ良くって深い意味はなかったはずの歌詞にも、時間と経験を経て深い意味を持たせるだとか、歴史をもった音楽は強い。
あと、コロナでなかなか外出ができないという情勢と、夏といえばこういう思い出だった!というイメージとしての夏がうまいことリンクしていて、今年の夏曲は、一夏だけではない長い時間軸を感じさせている。
リーダーの的場さんが新メンバーオーディションに際して、「決して楽じゃないし、正直つらいことも多いと思うけど、前に進むために共に戦ってくれる人を募集します」的なことを言っていたのが印象深いし、落ちサビの歌詞「もう私たちは止まんないんだ」で1期生がアップになるところなんて狙いすぎも狙いすぎだけど、そんなん良いに決まってるし、2サビの大塚望由氏のソロパートの歌詞「例えば離れても何度だってちゃんと会える 帰ってくる場所はここだって歌わせて」が全ての人類へのプレゼントだと思う。
あとは、純粋にメロディが多くて贅沢。サビ中も繰り返しがないし、2番AメロBメロが1番とは別物だし、1曲のボリューム感が凄い。1サビから切ないコードを多用してるのも贅沢。よく落ちサビだけこういう展開にするのはありがちかもだけど、それを1番からやってのけて、しかもちゃんと落ちサビはそれを超えるものを持ってくるという強気で攻めまくっている曲。だからこそ決意の側面も音楽的に感じられるんだろうな。
どれだけ紡いでも感情は語りきれないので、リーダーの的場華鈴さんと虹コン再加入の大塚望由さんのブログ記事を貼って終わりにします。
美味いものファンクラブ/虹のコンキスタドール
作詞/前山田健一
作曲/前山田健一
編曲/浅野尚志
これぞアイドルソングの至高。ヒャダインさんのよく言ういわゆるトンチキな曲。変な曲と変な振り付けを全力でやる、これぞアイドル、そうそうアイドルってこんなのだったよなと思い出させてくれる。「ごめん。私、美味いものファンクラブなの…」ってセリフが本当に変な世界観を端的に表していている。変な曲だからわかりにくいけどこの曲はめちゃくちゃ難しい。キーも広いしリズムも複雑で唐突に転調するし、それでいて可愛かったり力強かったり、表現力とキャラクター性を求められている。凄すぎる。個人的にこのライブ版のアレンジが狂おしいほどに好きです。
ファンクラブとファンク調がかかっているのか知らんけど、ファンク調大好きマンとしてはこんなん好きになるに決まっている。最近アイドル界隈でポップファンクが流行っていてとてもいい流れだと思います。
BEYOOOOONDSも虹コンも12人という人数でありながら、1曲の中に全員の見せ場があって、歌詞割りも偏らず大体均等くらいになって、コミカルに、底抜けに明るく、漠然と応援歌を歌うというスタイルであるの、個人的に抱いているこれぞアイドル像に一番近い。モー娘。の恋愛レボリューション21あたりとか、AKB vs ももクロでんぱ組みたいなアイドル戦国時代と言われ始めた時のアイドル像のそれと近いと思ってる。アイドル戦国時代勃発後から、さまざまなコンセプトアイドルが乱立して、特に坂道グループが最近のアイドルのスタンダードとして扱われることが増えてきた気がする。その中で、ストロングスタイルで戦っている(と個人的に思っている)BEYOOOOONDSと虹のコンキスタドールには2020年代のアイドル界で活躍して欲しいと思っています。
不健康社会/高橋李依
作詞/mitoha
作曲/永井葉子
編曲/TOPICS.LAB
ドラマ「ガールガンレディ」の主題歌「U撃つ」が凄い良かったのでアルバム「透明な付箋」を聞いてみたら名曲揃いの名盤だった。特にこの曲はピアノとベースが気持ちよくて中毒性がすごい。”あ、そっか、病気なんだこれ”という言葉の持つリズムとメロディをコードに乗せることで音楽にして、ストーリーが膨らんでいくのが期待感を高めている。このフレーズもそうだし、その他各所に日本語のアクセントとか言い回しの元々持っているリズムやメロディをそのまま音楽にしていて、日本語詞の面白さが形になった作品に感じた。こういう同じセリフでも言い方とか表現で違う感情を表現できるのは声優ならではという感じがして、声優がアーティストデビューする意味を感じられて良い。あと、”あ、そっか、病気なんだこれ”に対して落ちサビ後の”あ、そっか、私なんだこれ”は転調後でセリフ部分も実はキーが高くなっていてこれめちゃ繊細で凄いことしていて震えた。
愛で溢れたい/HIMARI feat. せいや
作曲/小林壱誓、穴見真吾(緑黄色社会)
編曲/soundbreakers 、穴見真吾(緑黄色社会)
霜降り明星の冠番組「霜降りバラエティ」内の企画、”令和のアグネス・チャンを探そう”にて優勝者に提供した楽曲。サポートに緑黄色社会のメンバーがついたのもおもしろい。想像以上に近代的で、独特な言い回しも気持ちよくて、しっかりとキメにきている。この上半期で霜降り明星がそれぞれで(歌ネタではなく)楽曲プロデュースみたいなことしていて末恐ろしい。
2021年下半期編へ続く…